糖尿病と歯周病  
2002年8月号掲載


糖尿病は、先天的な一部を除き、皆さん御存知のような代表的な生活習慣病です。インスリンというホルモンが不足するために血液中のブドウ糖が体に取り込まれなくなり、血液中に多量に残ってしまう病気ですが、それが数々の他の病気に関連します。糖尿病が進行することにより、脳や心臓の血管がつまってしまったり、腎臓が弱ってきたりします。では、口の中には糖尿病の影響は出るのでしょうか。

 糖尿病の傾向のある方のお口には、歯周病が進行している場合が多いようです。また、中には急に虫歯の増えるかたもあります。これは、糖尿病のために、口の中の歯周病関連菌や虫歯関連菌に対する抵抗力が低下し、症状が進んでしまうからなのです。また逆に最近の研究では歯周病関連菌が、糖尿病の症状を進行させるということも分かってきました。歯周病の治療をすると糖尿病が改善する例が確認されたからです。

 このようにお口の病気と糖尿病は、大変密接な関係があるようです。糖尿病の治療と同時にお口の病気を治療することは有効な要件になるようです。そしてここでも基本になるのは生活習慣の改善です。バランスのよい食事を摂ることと、食後の正しい歯のブラッシングによって歯周病関連菌などが住む歯垢を取り除くことが肝要です。
 また、歯の周囲に歯石がたまると、そこは歯周病関連菌の巣になり、歯周病が進行してしまいます。そのため定期的に歯科医院でメンテナンスクリーニングなどを受け、歯石を取ってもらう必要があります。

 今まで続けてきた生活習慣の改善は、頭で分かっていても実際はなかなか難しいものです。しかし健康を守ってゆくためには実行していきたいものですね。