知覚過敏症  
2002年4月号掲載


最近雑誌やテレビのCMなどでよく耳にする歯の「知覚過敏症」というのはどういうものなのでしょう。 これはまず症状として、「冷たい物を口に含むと凍みる」とか、「歯ブラシを当てるとキリッと痛む」など、強く持続する痛みではないのですが、一過性の鋭い痛みとして感じとられます。

 ではなぜこの症状が注目され増えてきたのでしょうか。その原因の一つは、ハミガキにあるように思われます。というのも、やはり最近は「白い歯」「美しい歯」ということが重視され、それを効能にうたったハミガキ剤が多く発売されています。その中には研磨剤(要するに磨き砂)成分が多く入っているものがあり、それを使って一生懸命、人によっては1日5回もハミガキをされています。

 もちろん歯の健康維持には、ハミガキは大変重要なことなのですが、問題はそのやり方にあります。ゴシゴシこする間違ったブラッシングを続けると逆に歯茎を痛め、本来は歯茎に覆われているはずの歯根の部分を露出させてしまうことがあるのです。
 歯磨剤に含まれる研磨剤は、歯の表面を覆う硬いエナメル質はすり減らさないのですが、この露出した歯根の部分にはエナメル質は無く柔らかいため、そこをこの研磨剤でゴシゴシ磨くとたまったものではありません。歯根はすり減り、普通では感じないはずの温度差や刺激を痛みとして感じ取ってしまい、知覚過敏症となるのです。

 ただ、原因はこのことだけでなく、噛み合わせの不調和や、歯周病、もちろん虫歯など、お口の病気の初期症状としてもこの知覚過敏症は現れるため、気になりだしたらまずは歯科医院で病気が発生していないかどうかを調べてもらい、明らかにハミガキが原因ならば、そこで、正しい歯ブラシの使い方の指導を受けると良いでしょう。