歯のお手入れの秘訣教えます?!  
2001年6月号掲載


「わたしは、どうも歯磨きがうまくできません。一生懸命やっているのに、またすぐ歯が悪くなってしまうのです。いったいどうすればうまくできるようになるのでしょう。」患者さんから、こういう質問をお受けすることがよくあります。そのときわたしは、こう聞き返します。「あなたは、人の歯が何本あるかご存じですか?そして今あなたには何本の歯が残っていますか」と。残念ながら、この問いに対し、正確にお答えいただけるかたは大変少数なのです。

 毎日の歯磨きは、多くのかたが鏡の前で顔を写しながら行っていると思います。歯もその時に鏡に映っているはずです。けれども、歯をまじまじ見ることはどなたも行っておられないようなのです。歯の病気を防ぐには、毎日の入念なお手入れが欠かせないことは皆さん異存がないと思います。ところが歯というものは、食物を噛み砕くために大変複雑な形をしているため、言葉で言うほどそれは簡単なことでは
ありません。雑誌などにあるような一律の歯磨き法では、実はほとんど対処できないのです。

 目隠しをしてお家の窓ガラスをきれいに拭き上げることはできないのと同じように、歯もどのような形であるかを知らなければ、上手くきれいにすることはできません。歯ブラシやデンタルフロスを手にする前に、まずはご自分のお口を手かがみでのぞき込んでください。ドラッグストアーなどに口の中専用の鏡が売っています。それを利用すれば上の歯もよく見えます。

 さて、ご自分の歯は何本ありますか?そして、どう言う形と生え方をしていますか?それをよく見すえてから隅々にブラシやデンタルフロスを届かせるように工夫してみてください。“まずよく見ること”これが歯を健康に保つ秘訣なのです。