お口の臭い気になりませんか  
2001年4月号掲載


最近、中学生から高齢者にわたり、歯科医院を訪れる患者さんで「口臭」を訴える人が増えています。口の臭いを気にするあまりに対人関係に重大な支障をきたす場合も少なくないようです。口臭は、その8割から9割が口の中に発生源があり、残りは胃潰瘍のような消化器の病気や蓄のう症のような耳鼻科疾患、他の全身性の疾患が影響するようです。

 口臭の原因は、口の中に進行した歯周病(歯槽膿漏症)や深いウ窩(虫歯で出来た穴)、ぴったりと合っていない冠(かぶせ)やブリッジ、きれいに手入れされていない入れ歯 などがあると、その部分に定着し繁殖した口の中の細菌集団(プラーク)が、食べかすや、だ液(つば)、その他の体のタンパク質(歯茎や頬の粘膜)を 分解しメチルメルカプタン・硫化水素・アンモニアなどの臭気物質を発生させることにあります。また、熱が出る病気にかかったときや体調不良時にできやすくなる舌苔(舌の表面に出来る白い色のもの)細菌の繁殖を示しておりこれも重要な発生源の1つです。他には喫煙による独特の臭いが口臭を増強させることがあります。

 では、口臭の治療法はどうすればよいのでしょう。まず、 歯ブラシや歯間ブラシやフロスを利用したプラークコントロール(お口の清掃)の励行、入れ歯の確実な清掃が重要です。そして、歯周病や虫歯がある場合はその治療をしなければなりませんし、不適合な義歯や冠は作り替える必要があります。タバコを吸っておられる方は禁煙の必要があります。舌苔には専用のブラシやガーゼを水に湿して清掃する方法も行なわれます。ただ、洗口剤は、60分位でほぼ効果がなくなるものや、ハミガキ剤や水ハミガキのように最初からほとんど効果のないものまであるのでそれらに頼るのは注意が必要です。

 あと、自ら口臭を訴え歯科医院に来院される方の中には、実際は病的な口臭は存在せず、誰にでもある自然臭を家族に言われて敏感になりすぎた人や、他人の言動を気にしすぎる神経質な性格の人におこる、いわゆる「自臭症」の患者さんが非常に多く、このようなかたは一 度、口臭検知器などでの客観的な検査を受け、思い込みから開放されることが必要です。当歯科医師会でも毎年行なわれる“健康まつり”で口臭検査を行なっておりますのでご利用されてはいかがでしょう。