これから生えてくる歯を大切に  
2003年4月号掲載


6歳臼歯(きゅうし)という歯を知っていますか?子供の口の中に最初の永久歯(大人の歯)として生えてくる奥歯で、5歳後半から6歳中ごろにかけて乳歯の奥歯のそのまた後ろに黙って出てきます。

 そのために知らずにいる人が大勢いるようで、気がついたときはもう虫歯になっていて、「うちの子は、虫歯が生えてきたのでしょうか」と聞くお母さんもいるほどです。この6歳臼歯はおじいさん、おばあさんになって死ぬまで使う歯ですから出てきたとたんに虫歯になったのでは長持ちしません。また困ったことに、この歯は虫歯になりやすい条件を持っていますので特に生えてくることを待ちかまえて予防対策にとりかからなければなりません。

 まず第1は、萌出(ほうしゅつ)を子供に発見させることです。5歳になったら乳歯列の後ろが盛り上がって、そこから黙って出てくることを話してやってください。不思議な自然の営みを説明してやると非常に興味を示します。そして指でさわって場所を覚えさせます。また「最初はとんがったものが出てきて舌で分かるんだよ。」と話します。そして「初めての大人の歯が生えてくるんだ。一番大きくてかむ力も強く、大人になるための栄養を摂る働きをするんだよ。だから虫歯にしてしまったら立派な大人になれないよ。虫歯にしないように気をつけようね。」と話しておきます。早く大人になりたがっている子どもは決して忘れることがありません。必ず発見して教えにきますから、家族全員で祝福してやってください。

 第2は萌出してきた歯を早速磨き始めることです。ところが、まだ歯ぐきが半分かぶっていたりして磨き方がとても難しいのです。先に述べたように完全に出てこないうちに、虫歯になってしまうこともありますから、お子さんと一緒に歯科医を訪ねてください。磨き方を具体的にお教えいたします。

 6歳臼歯は上下左右で4歯萌出しますから次々と注目させてください。何回も会話をかわすことによって、この歯を自分で守る気持ちをしっかり持たせてもらいたいものです。