歯周病の予防管理  
2002年12月号掲載


皆さんは、歯周病(歯槽膿漏症)は治る病気なのか、治らない病気なのか、どちらだと思いますか。答えは『一時的には治るかもしれません、けれども長期的にはすぐに再発を繰り返し悪化して行く“非常に治り難い病気”』だと言うことです。

 それではどう対策をすれば良いのでしょう。現在の歯科医学で証明されている答えは、徹底的な『予防』と適切な『管理』ということなのです。すでに皆さんは歯周病の『予防』のために、毎日歯磨きをされていると思います。しかし、どれほどの方が定期的に歯科医院での『管理』を受けておられるでしょうか。以前から歯磨きの重要性は啓蒙され多くの方が実践されてきました。が、それだけで歯周病が治りそれによって歯を失う人が劇的に減少したかというと、それ程ではありません。つまり自己流の歯周病予防だけではうまくいかない人が多いのです。そこで重要性が増してきているのが歯科医院での“歯周病予防のプロ”による『管理』なのです。

 この『管理』とはどのようなものかというと、まず患者さんに歯周病を理解してもらい、お口の中の現状を知ってもらいます。次に患者さんの清掃しにくい部位の歯垢、歯石を清掃するため、専門器具で歯面を磨き、歯周ポケットを洗います。そして、歯周病により出てしまった根の部分が虫歯にならないようにフッ素を塗布します。難しいことでも苦しいことでもありません。簡単に言えば歯を美しくすることなのです。欧米先進国ではこれはすでに歯を守るための常識として行なわれています。

 皆さんは定期的に美容院に“自分から”行かれます。髪が綺麗に、美しくなってうれしいからです。歯も綺麗に美しくなればきっと同じ喜び、満足感が得られるはずです。綺麗にしたいなぁ。まずは、それくらいの気持ちで歯科医院に行ってみて下さい。きっとよいことがあります。それが健康な歯を歯周病から守り一生涯自分の歯で噛むことにつながるからなのです。

(注・現在の制度上、原則として健康保険での予防処置は認められていないため、条件により保険外の費用が必要になる場合があります。『予防』『管理』の実施についてはかかりつけの歯科医師にご相談ください。)