自立と孤立  
平成17年10月31日


早いもので、私がこの藤井寺市歯科医師会を会長職としてお預かりすることになりましてから、1期目2年間が終了し、平成17年度18年度にわたる2期目もその1/4が終わりました。昨年度の30周年という節目の年を含め、ここまで無事に様々な会務を遂行できましたことは、ひとえに会員の皆様方の絶大なご協力を賜ることが出来たからにほかなりません。ここに紙面を借りて深く感謝申し上げます。

会務のほうは平成13年から始まりました、寝たきり高齢者の在宅訪問健診、在宅歯科診療事業ともに軌道に乗り、また年来の課題でありました障害者歯科事業も近隣にさきがけ取り組みまして2年半が経ちました。担当の寺井先生を中心とした方々の多大なご尽力のおかげで順調に推移しています。障害者歯科診療施設につきましては、南河内二次医療圏域での設立に向けて南河内6支部に連絡委員会ができるなど、活動に広がりが出てきています。どの自治体も財政難でなかなか難しい面がありますが、広域行政で各自治体に少しずつ負担を頂くことができれば実現可能の範囲であろうと認識しております。

ところで、今医療をとりまく環境は誠に厳しいものがあります。国は医療費抑制のため、医療保険の免責制度や社会保障の伸び率管理といった、なりふりかまわぬ何でもありの医療費削減策を検討しているようであります。このように、今後医療への逆風はますます厳しくなるでしょうが、こういう時代こそ支部は本会の指導の下、一致団結し、会員どうし助け合って行くことが一層重要になって来ると思います。臨床心理学者で文化庁長官の河合隼雄先生の本に、「自立は依存の裏打ちがあってこそ成り立つ、依存のない自立は自立に見えて実は孤立である。」というくだりがあります。自立と依存は反対概念に見えて実はそうではない、これは河合先生独特の逆説的に真実をついた言い回しです。言うまでもなく歯科医師会は自立した歯科医師の団体です。それぞれが自立しているということは河合先生流に言えば、会員どうし、お互いに依存(助け合い)し、又 会員は会に、会は会員に依存することにより自立できるということになります。我々も孤立ではなく自立した同志であるよう、これからも助け合ってまいりましょう。今後とも会員の皆様にはより一層のご厚情、ご協力をよろしくお願いいたします